こんにちは。はじめまして。
もろいくや、役者です。
スタジオボーロでは講師をつとめております。
みなさん、楽しい役者人生、送られていますか?
ありがたいことにぼくは、いま楽しんで役者人生を生きています。
日々少しずつではありますが、成長する自分を感じられることが、ほんとうに幸せです。
…少し自分語りをさせていただきます。
池田定幸との出会い
初めて演出家・演技指導者の池田定幸と出会ったのが26歳のとき。
それまでのぼくは、高校から始めた演劇が楽しくてしょうがなくて、とにかく「目立ちたい」という思いだけで好き勝手に芝居をやっていました。
そんなあるとき、ご縁があり演劇集団池田塾の本公演に客演させてもらいました。
衝撃でした。
演出家池田の凄まじいほどの表現力、説得力、人間観! 時代感覚! 包容力…!
その頃のぼくは身の程も知らずに、大人というものをまったく信用していなかったのですが、そんな偏見をみごとに吹き飛ばすほどに、池田はものすごく「魅力的な大人」でした。
この人と一緒に芝居がしたい
それから22年に渡り、活動を共にしてきました。
池田は、なんにも知らない野生児のようなぼくに辛抱強く何度も何度も教え続けてくれました。
演技、演劇、役者とはなんなのかを。
男とは、女とは、人間とは、集団とは、個人とは、社会とは、立場とは、関係とは。
そして、突っ走ること、あきらめないこと、やせがまんすること、愛すること、生きること、死ぬこと。
落ちこぼれの弟子
だけど正直に言いますと、ぼくは落ちこぼれの弟子でした。本当に。
思い込みが強すぎて、なかなか教えが入らず、何をしても自己流になってしまう。
教えが厳しいと感じるとすぐに逃げ出してしまう。
だけどやりたがりだから、なんにでも首を突っ込む。
けれども責任は取れない。
…いわゆる集団の中の困り者ですよね。
今から思えばぼくは、生きるということを信じられていなかったのだと思います。
だから根源的に強く存在できない。
「未来」や「成長」や「困難を乗り越える」ということに実感が持てない。
つまり人生を否定していたのだと思います。
しかし、池田の金言のひとつが「演技とは、人生を肯定すること」でした。
なのに弟子のぼくはその真逆を張っていたのですから、池田もさぞかし困り果てていたことでしょう…。
そしてこの「人生を肯定する」ことがほんとうに、演技と深く繋がっているんだということ実感できるのは、池田が亡くなったあとなのでした。
演技コーチの道を歩きはじめる
2020年に急逝した池田は劇団とは別に演技塾を運営していて、これは劇団の旗揚げより前、かれこれ40年近く運営していたもので(だから池田塾と命名された)、亡くなったときにもここに通うレッスン生がいたので、「先生が生涯続けてきたものを、ここで止めるわけにいかないのでは」という漠然とした責任感から、衝動的に引き継いでレッスンを始めました。
これがぼくの演技講師としてのスタートでした。
池田が亡くなる前の3年間、助手としてレッスンについて池田の演技術を学び直していましたが、果たして落ちこぼれの自分に演技講師ができるのだろうかと、正直自信はありませんでした。
しかし病床の池田が、ぼくが代講したレッスンの様子を報告したときに「お前はもうできるんだ」と言ってくれたのを思い出しました。
そして、そのことだけを頼りに演技指導をスタートさせました。
最期の最後まで表現者として、指導者としての生き様を全うさせた池田への、驚異と尊敬の思いと、こんな未熟な自分がやるからには、絶対に小手先ではなく全身で向き合うんだということだけを信条に、その後の池田塾演技スタジオの講師をつとめました。
そうして、突っ走って振り返って試行錯誤を繰り返しながら、池田から教わってきたものを模索し体現し続けることで、自分の中にだんだんと「希望」や「夢」が湧き上がるのを感じました。
「困難を乗り越える喜び」も味わうことができました。
その行程の中で、いまのボーロの演技訓練術も育ってきました。
そうして本気でレッスンに向き合い続けるうちに、いつのまにか、ぼくは「人生を肯定する」ことができるようになっていたのでした。
落ちこぼれだったぼくにも実はちゃんと池田の教えが血となり肉となっているのだと思えてきて、不思議と自分自身の演技も、以前より成長していることが実感できるようになりました。
落ちこぼれも個性! 強みです
ぼくには、池田のような才能もカリスマ性も強さもありません。
しかし、池田の教えを自分なりに分析し、誰にでも伝えられる技法としてまとめることができました。
そしてそれを自分で実践して効果を検証しながら、さらに前に進み続けています。
落ちこぼれだったからこそ、できない、わからないという人たちの目線に立つことができると自負しています。
できない人がどうすればいいのか、具体的方法はいくつもありますが、それは人の数だけ違い、人によって変わったりします。
ぼくは、そのひとりひとりに、向き合っていきたいと思っています。
憧れの師、池田定幸がぼくに対して決してあきらめることなく向き合い続けてくれたように、ぼくもそうやって生きていきたいと思っています。
ひとりひとりの可能性を信じる
わたしたち演技塾スタジオボーロは、これから演技(表現)を始める人、迷いが出てきた人、自信をなくした人、大好きなはずの芝居にもっと夢中になりたい人、もっと強くなりたい人…。
そういった思いを抱えたひとりひとりに寄り添い、自立するための手助けをいたします。
どうぞ、私たちスタジオボーロをよろしくお願いいたします。